始めに

 

ダニエルは若い時、バビロンに連れて来られました。しかし、バビロンの国も滅び、今度はダリヨス王が王座に就きました。ダリヨスはシリアの軍を率いている将軍のような存在で、ペルシャ帝国の陣地を広げるのに貢献していたようです。ダリヨスはちゃんとした国を作る為、120人の太守を任命し、そして、3人の大臣を選んで国を治めようとしました。ダニエルはその3人の大臣の一人として選ばれていて、彼はもうこの時は80歳でした。3節「ときに、ダニエルは、他の大臣や太守よりも、きわだってすぐれていた。彼のうちにすぐれた霊が宿っていたからである。そこで王は、彼を任命して全国を治めさせようと思った。」しかし、そのように祝福されると、祝福されなかった人から恨まれてしまうのが、この世の現実です。2人の大臣達と多くの太守達はダニエルを排除しようとしました。しかし、彼らはダニエルに何の欠点も見つける事が出来ず、自分たちでダリヨス王に気に入ってもらえるようなルールを作り、ダニエルをおとしめようとしました。そのルールが7節後半に書かれてあるものです。「すなわち今から三十日間、王よ、あなた以外に、いかなる神にも人にも、祈願をする者はだれでも、獅子の穴に投げ込まれると。」そして、ダリヨス王は自分の誉れの事だけを考えて、その禁令の文書に署名してしまいました。

 

捕えられたダニエル 10節から18

 

ダニエルはこれらの新たなルールの事は、王様が署名するまで知らなかったようです。彼らは王様がダニエルの事を気に入っている事を知っていたので、王様ですら考えを変えられないように8節の所でこのように言っています。「王よ。今、その禁令を制定し、変更されることのないようにその文書に署名し、取り消しのできないメディヤとペルシヤの法律のようにしてください。」ダニエルはこのルールが提示された時、直ぐに、これは自分を滅ぼそうとしているんだと気が付いたと思います。ダニエルは王様に泣きつきに行くのではなく、神様に祈りに行きました。たとえ死ぬことになろうとも、祈ることをやめる、という選択肢は、彼にはありませんでした。ダニエルは政治に関わる仕事をしていたので、とても忙しかったと思われます。しかし、彼はどんなに忙しくても、一日に3回、神様に祈っていました。このようにダニエルが大臣として任務を成功出来たのも、神様に頼る事を辞めなかったからでしょう。10節「ダニエルは、その文書の署名がされたことを知って自分の家に帰った。──彼の屋上の部屋の窓はエルサレムに向かってあいていた。──彼は、いつものように、日に三度、ひざまずき、彼の神の前に祈り、感謝していた。」人を恐れて窓を閉めたまま祈る事も出来たでしょう。しかし、彼はいつもしている事を継続しました。人を恐れず、神を恐れる姿勢を保ったのです。ダニエルが窓を開けて、真の神様にお祈りをしている所を2人の大臣は見、喜んで王様に報告しに行きました。王様は自分が署名した禁令を無視したのがダニエルだと分かると、ダニエルをライオンの穴に入れなくてもすむ方法はないかと考えましたが、他に打つ手はありませんでした。

 

ダニエルは捕えられ、ライオンのいる穴の中に入れられました。ダニエルはこれまで、ダリヨス王に忠実であり、神の前にも人の前にも良き証を立てて来ました。16節「そこで、王が命令を出すと、ダニエルは連れ出され、獅子の穴に投げ込まれた。王は

 

ダニエルに話しかけて言った。「あなたがいつも仕えている神が、あなたをお救いになるように。」」ダリヨス王は自分には何も出来ないけど、真の神様にはきっとダニエルを守る事が出来ると、希望を神様に託しました。

 

l  マルチンルターはこのように言っています。する事がたくさんある時でも、神様との時間は削らない。

 

l  今現在、神様はそれぞれの心に在住して下さっているので、エルサレムの方向に向いてお祈りしないといけない事はないようです。

 

l  もし、私たちがイエス様を人の前で拒むならば、イエス様も私たちを天の父の前で拒みます。

 

 

 

解放されたダニエル 19節から23

 

ダリヨス王はその夜、ダニエルの事が心配で眠れませんでした。19節と20節「王は夜明けに日が輝き出すとすぐ、獅子の穴へ急いで行った。その穴に近づくと、王は悲痛な声でダニエルに呼びかけ、ダニエルに言った。「生ける神のしもべダニエル。あなたがいつも仕えている神は、あなたを獅子から救うことができたか。」2122、と23節「すると、ダニエルは王に答えた。「王さま。永遠に生きられますように。私の神は御使いを送り、獅子の口をふさいでくださったので、獅子は私に何の害も加えませんでした。それは私に罪のないことが神の前に認められたからです。王よ。私はあなたにも、何も悪いことをしていません。」そこで王は非常に喜び、ダニエルをその穴から出せと命じた。ダニエルは穴から出されたが、彼に何の傷も認められなかった。彼が神に信頼していたからである。」ライオンには食欲が無かっただけじゃないかと言う人がいます。本当に神様は天使を送って、ライオンたちは天使の存在が怖くて、ダニエルの近くに行く事が出来なかったのではないかと言う人もいます。どちらにせよ、神様はどんな事からでも私たちを守る事が出来ます。この事により、ダリヨス王はダニエルの信じている神様こそ真の神様だと分かった事でしょう。

 

ヘブル書1133節「彼らは、信仰によって、国々を征服し、正しいことを行い、約束のものを得、獅子の口をふさぎ、

 

敵が滅ぼされる 24節から27

 

今度は王様が、ダニエルを落とし入れた者達をライオンの穴に入れると言いました。24節「王が命じたので、ダニエルを訴えた者たちは、その妻子とともに捕らえられ、獅子の穴に投げ込まれた。彼らが穴の底に落ちないうちに、獅子は彼らをわがものにして、その骨をことごとくかみ砕いてしまった。」この当時、罪を犯した者だけが殺されるのはなく、その家族も一緒に滅ぼされる事になっていたようです。その為、妻子も殺されてしまいました。ここで分かるように、ライオンたちはお腹が空いていたのです。ライオンたちは食欲が無かったのではなく、本当に神様の守りがあった事がはっきりと分かります。

 

l  箴言2627節「穴を掘る者は、自分がその穴に陥り、石をころがす者は、自分の上にそれをころがす。

 

神様は今でもこのように、全ての人々が神様に立ち返れるようにと、色々な奇跡を使って私たちを導いて下さっています。それは、皆が真の神様を知るようになる為です。(Liberty Bible Commentary)ダニエルは患難のただ中でも神様に忠実でした。神様はそのような者を見放されません。25節から27節「そのとき、ダリヨス王は、全土に住むすべての諸民、諸国、諸国語の者たちに次のように書き送った。「あなたがたに平安が豊かにあるように。私は命令する。私の支配する国においてはどこででも、ダニエルの神の前に震え、おののけ。この方こそ生ける神。永遠に堅く立つ方。その国は滅びることなく、その主権はいつまでも続く。この方は人を救って解放し、天においても、地においてもしるしと奇蹟を行い、獅子の力からダニエルを救い出された。」」今も神様は全てを支配されています。どんな人も、国も、この真の神様に立ち向かえる者はいません。国々は立ち、また、滅びて行くでしょう。しかし、神の国は永遠に栄えるのです。

 

l  ダニエル書244節「この王たちの時代に、天の神は一つの国を起こされます。その国は永遠に滅ぼされることがなく、その国は他の民に渡されず、かえってこれらの国々をことごとく打ち砕いて、絶滅してしまいます。しかし、この国は永遠に立ち続けます。

 

 

 

ゴールデンテキスト

 

詩編9111節「まことに主は、あなたのために、御使いたちに命じて、すべての道で、あなたを守るようにされる。

 


 BMC日曜学校テキスト〈大人のクラス〉より

 

翻訳  猪坂 知央